日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

for Tonight

この地をおおう重力は哀しみで出来ている。
嫉妬に満ちた陽射しは制服の君の影を濃くする。
だから今夜、失われたエーテルがコンクリートの壁を隠す月の夜、
君は夢を見たまま体だけで現実へすべりこむ。
忘れられた公園、水面に足を浸したのは、月に魅せられたというよりもただ、癒されるため。


そして今夜、君は泣いた。ゆっくりと花弁が開くように。
クラスメイト、同級生。かりそめの囚われ人。どうして君はここにいるの?
架空の思い出は言葉となり現実と結ばれる。
君のそばに優しい人がいたことを、ふれられた肩はきっと憶えているだろう。
それは恋でもなく愛でもなく、でもいまも君が何よりもほしいもの。


ささやかな「夢」のために、ちょっとパセティックなこの曲を贈る。

Wuthering Heights Lyrics and Music:Kate Bush

印象的なこの曲のイントロを聞いて、日本中の誰もがあの俺の嫌いな明石家さんまのバラエティ「恋のから騒ぎ」を連想するだろうことを、ひどく悲しく思っている人間はそう少なくないと信じたい。このPVでさえ苦笑とともに見做す者だっているだろう。愚か者め(笑)。
この曲の、特に後半のリフレインと、その後に続くピアノと(たぶん)グロッケンシュピールの間奏に強く感情を揺さぶられない訳にはいかない。そのことがどんな傷を残すのかはともかく、人に対してこれほどに強い気持ちを持つことが、今の私達に出来るだろうか。そして、そんな疑問を持たされているのが今の私達というものだろう。
それでも誰かを求めるということは、生きている上でどうしても必要なのに、思えば悲しくならざるをえない。そんなことは誰にでもあることだろう、とはいえ思い描いたように得られるのは稀なことで、その気持ちをたがいに忘れずにいることもまた稀である。だから誰もがその手を伸ばさなくなって久しい。求めよ、さらば与えられん。