日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

まいったぞ松永貴志!

無機質オレンジ

無機質オレンジ

TODAY

TODAY

疲れて家に帰りつき、明かりもつけないまま、ポケットに入れてあったiPod shuffleからの音楽に身をまかせていると、ひどくノスタルジックな気分にさせるメロディが流れてきた……んー。これ、ステレオで聴きたいな…しかし、誰だっけこれ?
最初に思いついたのがBrad Mehldau Trioの『Day Is Done』で、次に思い出したのがNiels Lan Doky/Trio Montmartreの『北欧へのオマージュ』だった。ブラッド・メルドーへの連想はその現代的な音の質感なのだが、それにしてはメロディアスだ。トリオ・モンマルトルは確かにメロディアスだが質感が微妙に異なる……えぇ、誰だよこの曲? パソコンは消してあったからiTunesで曲を確かめるのが面倒で、結局CDの棚からあれこれひっぱり出しては聴いてみたのだが、全然見つからない……
仕方がないから部屋の明かりをつけて、パソコンを立ち上げる。iTunesのライブラリを探してみると、ありました。松永貴志の最新アルバム『無機質オレンジ』の一曲“神戸”だ……やるな、やるな松永貴志正直、君の作品だとは思わなかったよ。すまない。
今もこの文章を書きながら『無機質オレンジ』を聴いているのだけど、このアルバムを最初に聴いて思ったのは「うわ、海外のジャズピアトリオみてえ」という思いがけない驚きだった。一番最初に松永貴志を聴いたのは、報道ステーションテーマ曲"Open Mind"が収録された『TODAY』だったのだけど、断然『無機質オレンジ』の方がカッコいい。演奏全体がのびのびしてて気持ちいいし、何より曲のクオリティが断然上がっている。こちらが望む及第点を軽々とクリアした名曲揃いのアルバムだ。
最近のジャズ業界は十代の若手なんかがデビューしてそれなりに売れているようだから、ほとんどクラシック業界みたいな印象を持ってしまって、それはほとんど「芸術」じゃないの、なーんて思いながら十七歳でCDデビューした松永なんか敬して遠ざけていたのだが、いやはや参りました。確かにこりゃあ才能ありますわ。このまま業界の有象無象に食いつぶされることなく長いアーティスト生活を過ごしてほしい。
と、言う訳で、慎んで7月7日のコンサートを宣伝させていただきます。お近くの方は、お近くじゃない方も是非ともお越し下さいませ。いや本当にいいんだってば松永貴志。しかも3,000円なんだからさっ!
お待ち申し上げております <(_ _)>