日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

酔った勢いで「マリーゴールド」について書く

 α station を聞いていた土曜日の朝だったと思う。「麦わらの帽子の君が揺れたマリーゴールドに似てる」という歌詞が耳に届いて、いやまた随分と古臭いけどいい曲だなー、90年代にこんな曲あったんだなー知らんかったわーと思っていたら、あいみょんの「マリーゴールド」という最近の曲だと知って驚かされたのだ。

あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
 ほぼほぼフォークソングじゃんと思っていたので、まさか平成も暮れかかる2018年の新曲だとは思いもしなかった。
 あいみょん、という名前は spotify のおすすめに出ていたので知ってはいたが、自分と関係するような音楽を演奏するような人とは思っていなかった。大体、最近の流行り歌をいいわーと思えること自体、私にはすでに僥倖に近い。
 ずいぶんと独特の声をしている人だ。はじめて聞いたときは男性歌手だと思って聞いていた。歌詞も男性側からの曲でもあったし。あとで女性だと知った時には俄然興味が湧いてしまった。
 こんな風に、男目線の歌を歌う女性フォーク系歌手に昔イルカという歌手がいたけど、今思えば、イルカの歌う「なごり雪」にしても「雨の物語」にしても、イルカが歌詞の世界の男女どちらかに投影されている風にはあまり聞こえなかった。そこいらはわりとフラットだったというか。「マリーゴールド」のあいみょんは、はっきりと自らを男側に仮託して歌っているように聞こえた。そこんとこがなかなか今風なのかしら、と思ったりもして。男の声としては細いのだけど、女の声にはちょっと疑問符がつくし、歌声の主はやはり男側にあるように聞こえた「マリーゴールド」は、結果として男女ばかりでなく BL にも 百合にも素敵なBGMになるのじゃないか、同性同士のカップルにもぴったりと寄り添ってくれるラブ・ソングだな、という感触を得た。それはひとえに「マリーゴールド」を歌うあいみょんの歌声の力によるものだろう。
 先程記したサビの歌詞の後に続く「『もう離れないで』と泣きそうな目で見つめる君を」の唐突なシリアスさも良いし、二番目の歌詞のサビ「やわらかい肌を寄せ合い少し冷たい空気を二人 かみしめて歩く今日という日になんて名前をつけようかなんて話して」にはほとほと心打たれた。「〜なんて名前をつけようか」で歌詞が終わるのなら、それは歌い手側の男の思い込みでしかないし、今までの流行り歌にもよくあるフレーズに過ぎないのだが「〜なんて名前をつけようか」の後に続く「なんて話して」がもぅたまらない。そんなリテラシーの高い台詞あんたら語り合ったのかーい、という高純度のピュアさ加減にいささか目眩がした。いやはや、やはり時代は進化しているのだな、という思いを新たにしたので、酔ったついでに二年ぶりにここに書き記しておこうと思った次第である。有り体に言って、傑作ですね。