日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

玉光堂ポスフール北見店で

あとスタンプ一押しでポイントカードが満点になる、と気づいたのがいけなかった。
北海道ローカルのCDショップといえば、北見ではなんといっても玉光堂ポスフール北見店である。店舗面積はそう広くないが、品揃えをちゃんとしている感じが見受けられて嬉しい。「頑張ってるな」という気がする。これに比べると、面積ではやや広いだろうTSUTAYAの北見店(正確な名称は忘れた)の品揃えなんかかなり頭悪くって(物を知らない店員が売れてるCDそのまま並べたような、ある意味客なめてるような)、棚見るのが精神衛生上かなり良くないのだ。
玉光堂のポイントカードは満点になると1,000円の割引になる。という事は、最近のJ-POP系の新譜(概ね3,000円程度)でも洋盤程度の額で買えるという事だ。いいじゃないかそれ、と「今年は旭川以北のCDショップでCDを買わない」と心密かに誓った年頭の目標を早々に破る事になった。
店内をざっと見渡してまずはお目当てのCDを探す。その最初は"BUMP OF CHICKEN"である。

車輪の唄

車輪の唄

去年のシングル「オンリー・ロンリー・グローリー」のサビがなかなか良くて、気が向いたら買おうかと思っていたのだ。が、アルバムはなかった。仕方なく試聴コーナーに行くとバンプのCDシングル「車輪の唄」があったのでさっそく試聴した。ペケ。トラディショナルな感じのアレンジはわりといいんだけど、そのためにも是非音はもっとぶ厚くなくちゃな。まぁこういうのは好みの問題であって、それにポップ・ミュージックは基本的には一聴してすぐに買う/買わないを判断すべきと思っているので、あっという間にバンプは除外された。新しいアルバムが並んでいればもっと検討したに違いないけれど、これは運だから仕方ない。機が熟せばまた手に取る機会はあるだろう。
次にトライしたのが"ORANGE RANGE"の最新アルバム「musiQ」である。
musiQ

musiQ

1曲目「KA・RI・SU・MA」2曲目「チェスト」そして去年の夏俺の心をエロにしたコーラス“あっあー、なんかイー感じ”でセンスを感じさせてくれた3曲目「ロコローション」と立て続けに聴いて…うーんペケ。2曲目も最後まで聴けず飛ばしたんだが期待の「ロコローション」、二番目の歌詞まで来るとちょっと息切れしてる感じがして、次の曲を聴く気分が萎えてしまった。まぁどう考えたって四十を迎えようとする独身男の身辺で流れてる音楽ではないと思うし(笑)。いや実際そうだけど、本当は音楽の好き嫌いにそんなこと関係ないんだけどさ。
その次に試聴したのが井上陽水のトリビュート盤「YOSUI TRIBUTE」。
YOSUI TRIBUTE

YOSUI TRIBUTE

 
これは飛ばしながらもほぼ最後まで聴いてしまった。良かったのは1曲目「夢の中へ / TRICERATOPS」4曲目「リバーサイド ホテル / 奥田民生」6曲目「限りない欲望 / Bank Band」9曲目「いつのまにか少女は / 持田香織」13曲目「ジェラシー / 一青窈」。特に持田香織の声にやられてしまった。で、駄目だったのは2曲目「東へ西へ / 布袋寅泰」と断言する。カッコ悪い。あまりにもカッコ悪い。なんかそうじゃないだろ。「布袋は何唄っても布袋」ということなのかも知れないけど、それなら「いっそ セレナーデ」の小野リサ、「白い一日」の玉置浩二や「少年時代」の忌野清志郎なんか堂々として感心したんだが、なんだろ布袋への偏見かも知らんた、布袋にはそういった感じが全然しない。そもそもリスペクト心あるのかってーか魂入ってないってーか。
しかし何が駄目だって、ここにあげた曲のようなアレンジを自作で展開出来ない井上陽水その人だ。大体俺が好きな井上陽水っていうのは、もっとひりひりした音なのだ。初期の音なんて今聴いてもかなりひりひりしてて良いのだけど、新しい目の曲のアレンジは妙にスマートなだけでカコ悪い。最近ジャズアレンジで昔の自作曲唄ってるらしいけど、今更っていうかもう何て云うか……駄目すぎ。今の井上陽水って、どういう方針でアレンジを決めているのだろうか。ほんと云っちゃあなんだけどアレンジ何も考えてないんじゃないのか井上陽水ペケ。
そして次が、某オーディオ雑誌「STEREO SOUND」で村上春樹が絶賛していたスガシカオである。
試聴機にあった新譜「TIME」ので聴いてみた。
TIME

TIME

一曲目の「サナギ」のイントロ、左スピーカーからのアコギのカッティングにしびれた。これは当たりかも、と聴き続けていく。

体のうすい粘膜を 直接ベタベタと触れられるような
あなたのその無神経な指も ゾクゾクして嫌いじゃなかった
でも いつだってあなたときたら 放っておくと嘘ばかり
私のことを馬鹿だと はじめから思っていたくせに…
 
こんな日が来ると 思いもしなかったけど
まだそこにあなたが いる気配すら感じるの
 
あなたがいなくなってからもうずっと 体はサナギ色になって渇いて
冬の寒い部屋で生まれ変わるの まるでそれは美しい蝶みたいに
まだ濡れているその羽根を 誰かに駄目にされないように
少しずつひらいていくの 空を飛ぶユメを見て…
 
そんな日が不意に やってくるのだとしたら
その羽根でどこへ 飛んでいけばいいのかしら
 
家畜に名前がないように あなたの名前を忘れてしまうの
思い出して泣いてしまうよりも あなた自体を消してしまうの
 
そんな日がいつか やってくるのでしょうか
あなたとの日々が もう許されるのでしょうか
そんな日がいつか やってくるのでしょうか
素晴らしい日々が いつの日か…

………すげえ。当たりだ。嫌悪感たっぷりの冒頭の歌詞が二行目ラスト「ゾクゾクして嫌いじゃなかった」と結ばれるところでグッと来て次の「でも いつだってあなたときたら」で心地よくノックアウトされたのだった。大体どこの布袋様だか井上様だかと違ってアレンジがもう全然違う。特にこの「サナギ」だとサビに入るシンセの使い方なんかやたら淡くってそこが甘くってたまらない。もう舌まいちゃいました。買う、これは買いだ。いつか買うかもとは思っていたが、ついにスガシカオを買う日がやって来た(とまあ俺の中にはそういう「いつかこのアーティストを買う」リストがあるんだ)。新年明けましたおめでとう。
で、とりあえず必ず買う1枚が決まったところで、いくつかの今年の目標(というか方針)の一つ「ボーカル物のジャズアルバムを揃える」を実行すべくジャズコーナーへ移る。何が嬉しいといって玉光堂ポスフール北見店にはジャズとクラシックのCDが結構置いてある事だ。これに比べてTSUTAYA北見(以下自主規制)。
ジャズコーナーの試聴機には綾戸智絵の新譜「SEVEN」があった。

SEVEN

SEVEN

今までお互いにあまり良い関係ではなかった俺と綾戸なのだが、年も改まった事だしここは謙虚に彼女の歌声を聴く事にしよう。ペケ。これなら俺はケイコ・リーの方がまだいい。きっと好みの問題なのだろう。正直、何人かの年長者が綾戸を褒める時に、決まって彼女のライフストーリー、例えば乳がんになった話から始めたりする、その“綾戸をめぐる状況”が好きじゃないのだ。囚われすぎかも知れないが。
で、結局買ったのは次の二枚でした。どちらも名盤。しめて1時間30分の店内航海だった。
チュニジアの夜

チュニジアの夜