Rockin'on CD Vol.5
10代後半から20代半ばまでは、コンスタントにロッキング・オンを購読していた。実は渋谷陽一に影響を受けてはいたというか何というか(実は渋谷の第一評論集「メディアとしてのロックン・ロール」は初版で持っている)、当時ロッキング・オンに延々とマルクス論を書いていた岩谷宏の「僕らに英語はわからない」も浪人時代に感心して読んだし、当然のように松村雄策「リザード・キングの墓」も読んだ。渋谷に至っては後二、三冊は持ってる。その程度には影響を受けていた訳だ、渋谷陽一というよりは「ロッキング・オン」という雑誌に。
しかしある種のロック、それこそロッキング・オンが好んで取り上げそうなロックがそうであるように、若者による投稿雑誌という出自を持つロッキング・オンが、ある時期のおれにとってひどくうっとうしいものに感じられてきた。そもそもその頃ぐらいからおれは、メインボーカルなんかの破天荒な生き方、例えば自殺したカート・コヴァーンなんかの<生き様>とバンドの曲を重ね合わせて聴くような聴き方に自分でついていけなくなり、丁度ステレオのスピーカーを変えた30半ばぐらいからジャズに転向(笑)して、ロックファンである事を降りたのだ。
まあ今でもおれはロックという音楽に必要不可欠と云っていい“歌詞”の問題を消化出来ずいて、できる限り訳詞を読みたがる人種ではあるのだが、以前ほど自分自身に対してそういった縛りをゆるくはしてきている。それはまあ一応いまのおれが「なんちゃってジャズファン、すべての音楽は素晴らしい」と自分を規定し、ジャズはBGMにもなりうる芸能音楽だからこそ素晴らしい、生活に音楽を! という方向にシフトしたからこその余裕な訳で、その余裕が十数年ぶりのロッキング・オン購入に至らしめたのだ。
舌足らずで申し訳ない。今回で五回目になるという企画"Rockin'on CD"は、雑誌の付録として日本でデビューしていない海外の10のロックバンドの曲を収めたCDである。これがなかなか良かった。収録曲は以下のとおり。
- Generator......Holloways
- Beautiful Targets......Hopewell
- S.O.S. ......Earl Greyhound
- Drama Queen......Switches
- See You At The Lights......The 1990's
- 40 Days And 40 Nights......The Enemy
- Sorry You're Not A Winner......Enter Shikari
- Hustler......Simian Mobile Disco
- Phantom......Justice
- Drought Of 2001......Walking Ashland
1曲目から5曲目まではかなり良かった。特に"Earl Greyhound"はかなりいい。もう一回は通して聴きたいところであるが、こういう旬のバンドを紹介するCDを付録にしたロッキング・オンに年寄りロックファンとして感謝したい。いやー、また物欲が刺激されるではないか。