日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

"Smart-UPS 700 Refurb"

hirofmix2006-10-05

仔細はともかく、無停電電源装置が手に入った。APCというメーカーの"Smart-UPS 700 Refurb"というサーヴァー用無停電電源装置である。「これ、使わないならもらってもいい?」「いいですよ〜」という散文的な会話の内に交渉は成立したのだが、こちらとしてはいくらかの高揚感があったのは、云うまでもない。
無停電電源装置」ということは、停電時に電力を供給するためのバッテリーが内蔵されている訳だ。そう、こいつはクリーン電源の代名詞・バッテリー電源なのである。オーディオファイルにとってのバッテリー電源、それは住宅内の家電機器その他によって常に不安定な電圧給電を余儀なくされる、いわば汚染された商用電源から離れオーディオ機器にクリーンな電気を供給する究極の電源以外に意味はない。それがタダで手に入ったのだ。プチ・オーディオファイルたる小生が、これで小躍りをしない訳にはいかないではないか。
とはいえ、無償受領した無停電電源装置は某PCサーヴァーに六年余のご奉公を勤めあげたいわば中古品である。もしかしたらその間一度もバッテリー交換してないかも知れない。もちろんオーディオ専用機器ではないのだから品質をうんぬんする代物でもない。その前に我が家のCDプレーヤー、真空管アンプに対応出来るのかどうかも定かではない。そうなると冷静に考えればかなり微妙な代物で、下手をすると我が家のオーディオ機器を危機に瀕することにだってなりかねないのだ。
しかしここヒロクロでも何度となく繰返しているが「音が良くなる」という言葉の前で冷静でいられるオーディオファイルはいない。それがどんな些細な可能性であれオカルトであれ江川三郎であれ、ただ「音が良くなる」という言葉の前でオーディオファイルは藁をも掴む。早速昼休みにすぐさま"Smart-UPS 700 Refurb"を投入したのである。


正解であった。
まず音全体が以前よりも前に出てくるようになった。しばらくすると音の分離が向上し、音の輪郭が導入前よりもかなり明確になった。たとえばピアノジャズトリオ(ピアノ・ドラム・ベース)の生録一発録りの演奏だと、各演奏者の立ち位置がその音でおおよそ把握出来るのだ。音域の変化として特徴的なのは中低域、特に低域がやたらず太くなり、以前は聞き取りにくかったベースラインがはっきりとわかるようになった。またCDに収録されている音を今まで以上に拾い出すことに成功している。グレン・グールドの「ゴールドベルグ変奏曲(ラストアルバムの方)」を聴いたのだが、以前だと冒頭のアリアでしか耳に届かなかったグールドの鼻歌が、アリア以降もずーっと途切れなく歌っているのがわかったのにはかなり驚かされた。
とまあ今のところ文句のつけようがないのだが、これらの結果がバッテリー電源によるものかというとそうではなく、UPSの電圧安定機能によって電圧低下・電圧変動が少なくなったのが理由ではないかと愚考している。
何はともあれ「音は良くなった」。もしかしたらプラシーボ効果ではないかという一抹の不安もあるのだけど、とりあえず今は「音が良くなった」と断言したい。ありがとう"Smart-UPS 700 Refurb"。いつかバッテリー交換してやるからな。