日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

"Anat Reference Main Module"を聴いてしまった

Anat Reference

そのスピーカーは、YG ACOUSTICS社製"Anat Reference Main Module"という。現在和田博巳氏のメインスピーカーとなっている、最新型ブックシェルフタイプ・スピーカーである。本日午後3時、札幌以北で随一のオーディオショップである"YAMADEN"試聴室において、持主の和田氏を講師に迎えた試聴会が開催された*1。小生、その試聴会に幸運ながら参加することが出来たので、日本でいち早く(笑)その模様をお伝えしたい。
当日の試聴システムは次の通り。システムはすべて輸入代理店であるアッカインク(AccA.inc)の取り扱いブランドによる。

  • スピーカー……YG ACOUSTICS"Anat Reference Main Module"
  • CDプレーヤー……LINDEMANN "LINDEMANN 820"
  • プリアンプ……HOVLAND "HP-200 Stereo Line Preamplifier"
  • パワーアンプ……HOVLAND "RADIA Stereo Power Amplifier"

最初の音を聴いた時にまず思ったのが「ああ音が良くなっている!」という事だった。実はこの試聴会を開く一週間前の21日金曜日、到着したばかりの"Anat Reference Main Module"を聴かせていただいたのだが、その時は鳴らし込みが足りないせいか、今イチの音しか出せていなかったのだ。しかし、試聴会の時にも思ったのだが、音量レベルを小さくしても楽器の音が混濁しない、最小レベルでもくっきりと楽器の違いを描き分けるという解像度の高さに、この"Anat Reference Main Module"というスピーカーの秘められた力量を感じてはいたのだ。
この日の試聴会での試聴ディスクは、参加者の年齢層にあわせてか、クラシック、ジャズのソースが中心だったが、試聴会終了後にはリマスター版のベンチャーズSACDロキシーミュージック"Avalon"などのロック系ソースも聴かせていただいた。愛聴盤であるエイミー・マンの"The forgotten arm"も聴かせていただけた。
通して聴いて感じたのが、このスピーカーの素性の良さである。特別な色づけをせず、収録された音を素直に引き出そうとするスピーカーである。そのため録音の良し悪しがはっきりとわかってしまう。その点ではモニター系のスピーカーと言えるかも知れない。
そう書いてしまうと、このスピーカーの見た目からも、ひどくクールで冷たい印象の音を想像するかも知れないが、これはそういうスピーカーではない。このスピーカーの本性を知るためには、やはり両スピーカーの中間地点、いわばスイートスポットで聴いてほしい。小生も試聴会の時には右スピーカーそばで聴いたのだが、このスィートスポットで再度聴いてしまった時には、もう冷静ではいられなかった。軽いキスだったはずがいきなり舌を絡まれたような(何て言う比喩だ)、甘く、しかも深い衝撃にぶちのめされること必至である。小型のくせに滲まない低音と、生き生きと延びてくる中音域。お上品にスピーカー後方でちまちまとステージを再現するのではなく(この日の音量にもよるのかも知れないが)、前に来てほしい音がずんずんと前に来る。しっかりと音圧を再現するのだから、その筐体の大きさを考えれば恐るべきスピーカーである。
ただ、これは勘でしかないのだけど、このスピーカーは出力に余裕のあるアンプで鳴らさないと本領を発揮しないと思う。能率は悪くないが(87db)バフレスのない密閉型スピーカーで、しかも公称インピーダンスが4Ω(和田氏が言うには2.7Ω)なのだから、よほどガッツのあるアンプでないと鳴らし切れないように思える(この日のアンプの音量メモリも午後三時まで上がっていた。ちなみに小生が家で聴く時の音量メモリは午前9時ぐらいである。10時にしたら家の壁が共鳴するかも知れない)。美味い飯(電気)を常時安定的にガツガツ喰わせないと本領を発揮しないスピーカーだろう。
しかもここだけの話だが、和田氏いわく「今日は(本領の)50%も出していない」というのだから、いったいこれ以上どんな音を叩き出すというのか……恐るべし"Anat Reference Main Module"。リップサービスでなければ和田さん、本当に言われた通り、千葉のご自宅に聴きに行きますよ俺は(笑)。

*1:ちなみに今回の試聴会は、道内初の試聴会々場に和田氏が直々にYAMADENを指名したのだから、北海道在住のオーディオマニアはここYAMADENに注目すべきである