日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

TANNOY "Autograph mini"

Autograph MINI

「TANNOY Autograph mini:TEAC ESOTERIC COMPANY」
午後から代休だった金曜日の午後、試聴会(和田博巳さんが来るっ!)の時間を確認するため"YAMADEN"さんに行きました。すると、いつもの展示スペースに、新発売となったタンノイ製「オートグラフ・ミニ」が澄ました顔で並んでいるではないか。おおこれは、という事でさっそく店長にお願いして試聴させていただいたのですが……いやー、いいですこれ。俺的にはかなり気に入りました。うなるほど金があったらほしいぐらいです(というか金があるならどんなスピーカーもほしい♪)。
何たって音の定位が抜群、こういうのを“ミニチュアのオーケストラがスピーカーの間に並ぶ”って言うんだろうな、と思いました。音楽を聴いていると、各楽器の演奏位置が手に取るようにわかる。左から右へ音が流れるだけでぞくっとしましたハイ。タンノイの代名詞“同軸スピーカー*1”の定位の良さっていうのは、こういうのを言うんだなぁと感心した次第です(あ、もしかしたら定位って言葉じゃないのかもしらん)。
そんなに詳しい訳じゃあないのだけど、タンノイといえば四五十年前から「ジャズを聴くならJBL、クラシックを聴くならタンノイ」って言われた程、オーディオの歴史に残る名スピーカーを作り続けて来た老舗です。今の高機能なスピーカーが、レコードやCDに収められた低域中域高域すべての音域を漏らさずに再生しようとしているのとは異なり、そもそも今みたいな高機能な部品のない時代に生まれたタンノイのスピーカーは、楽器や声、オーケストラの音を“それらしく”再生する、本物より本物らしく音を再生するスピーカーだと言われています。
それはまぁある意味“演出された音”を出すスピーカーって言い方も出来る訳で、原音再生なんていうオーディオ信仰から見れば対極の音なんでしょうが、この「オートグラフ・ミニ」を聞いた限り「演出された音でいいじゃん音いいんだから!」快哉をあげたくもなります。どちらかと言えば全音域を漏らさず再生するようなモニター的スピーカーがほしい俺としては購入候補には普通挙がらないのだけど、最近のステレオサウンド誌なんかでタンノイ評を読むと“クラシックよりもジャズの方がいいのでは”なんて書いてるんですね、菅野御大や柳沢御大や和田さんなんかにしても。そう聞くとそれはちょっと、というかかなり食指が動かされる訳で、であるならこーいう小型ブックシェルフ型じゃなくて"Westminster Royal"とか"Canterbury"とかせめて"Kensington"とか、もっと大型のタンノイ製スピーカーなんかでがっつりとジャズを聴いてみたいもんです。実は中学校時代の恩師が持ってるらしいのだが……うーむ、どうしてくれよう。
同軸スピーカー下に見えるバスレフっぽい部分が実は黒く塗ってあるだけっていうのが悲しくとも、お金に余裕があれば置いておきたいこの「オートグラフ・ミニ」。いつものお話し相手である店員のタカボン氏としみじみ話したのですが「これ、音はいいけど…値段が冗談だよね」。
お値段2台セットで262,500円……とりあえず半額にして来い。

*1:低域担当のスピーカーの中心部分に高域担当のスピーカーを設置して、高周波も低周波も同じ軸上から放射することで点音源での音楽再生を意図したタンノイ独自のスピーカーユニット