それでも若いっていいよな、って思うんだ
ちょっと気の利いた新書だった。
- 作者: 堀井憲一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/04/19
- メディア: 新書
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1970年代後半から80年代、90年代のクロニクルをまとめるにあたって文体をデレク・ハートフィイールドに求めたのは、この時代を生きた者にはほほ笑ましくなる方法といえよう。出来ればもうちょっと気の利いたメタファがほしかったが、初期村上春樹ばりのメタファを繰り出すのは書いていて楽しいけど、やっぱり難しい。
ただ、以前に読んだ新書をここに持ち出したのはそういう話じゃなくて、次のような文章が冒頭に記されていたのを憶えていたからだ。
そりゃ、若い方が徳だよ、と何も疑問も持たずにおもったあなたは、もう若者じゃないですね。はい。若かったときのことをもう覚えていないのだ。厳密にいうと「若かったときのリアルな心情」を覚えていないんですね
まあ確かにそうなんだろうと思う。あれほど悩んでいたはずなのに、それが楽しかったなどとは露思わないが、それでも自分が若かった頃が素晴しいなどとも思わない。今も昔もどっちもそう良くはない。それにしても、例えばこういう文章を読むと「若いっていいよな」と思ってしまうのだ。やはり歳を取ってしまったのだろう。
*小学生のころ同級だった男の子と会った
*元増田です。ブクマがいっぱいついていてびっくりしました。 「誰にも読ま..
今どこにいるのか、とか、どういう仕事をしてるのか、とか、そういうことはネット上ではいっさいわかりませんでしたが、そして多分はてなーでもないだろうと思うのですが、本音を、偽りなき本音を言うと、やっぱり心のどこかで接点を切実に求めていたりするんですよね。ああもうかっこ悪いよー。わーん。
(2段目のリンク先より引用)
誰かを求めるということの切なさ、情けなさ、でもそんな感情が止めようもなくあふれてしまう、そんな「愚かさ」は「若さ」の内の一つだと思うんですね。年をとればとるほど臆病になって、黙る気になればどこまでも黙ることが出来るようになります、無駄口を叩きながら。「言って相手を傷つけたらどうしよう」という気持ちと「でも言わなくちゃならないよ」という相反する感情、そのせめぎ合いの中からこぼれ落ちた言葉こそ、僕にとっての伝えるべき言葉である。
でもそんなことを考えていたら何も口には出来なくなる。沈黙はすぐそばでそっと微笑んでいる。
自ら発していたSOSに、気もつかないまま。
デートしようぜ。