日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

めらんこりあ、平成二〇年一〇月、ひどく寒い秋の夜の

「かもめはかもめ」という歌がある。歌詞の冒頭にある「諦めました。あなたのことは。もう電話もかけない」という言葉を、片恋の者は何度何度胸の内でつぶやいただろう。あの曲は中島みゆきによる名曲であるが、振り向かない片恋の相手と、そんな相手への思いの重さに疲れ切ったその情感を、曲を与えられた研ナオコは作者以上に伝え切って自分の曲にした。

振り返ると研ナオコという人には、そのどこか涙声なビブラートと相反する「乾いた倦怠」という風情がある。同じ中島みゆきの「ラ・ラ・ラ」とか福島邦子の「ボサノバ」とか、良い曲を歌い選んできた歌手だ(売れたかどうかはともかくとして)。こうして書いている内に、やはり名歌手のちあきなおみを思い出してしまった。