日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

いま、冬が来た


Bird on a wire
(Leonard Cohen)


Like a bird on the wire,
like a drunk in a midnight choir
I have tried in my way to be free.
 電線に留まった一羽の鳥のように
 真夜中の合唱団に紛れ込んだひとりの酔っぱらいのように
 私も自由になろうとしてそれなりに努力してきた


Like a worm on a hook,
like a knight from some old fashioned book
I have saved all my ribbons for thee.
 釣り針につけられた虫のように
 古臭い本に出てくる騎士のように
 あなたのためにすべての勲章をとっておいた


If I, if I have been unkind,
I hope that you can just let it go by.
If I, if I have been untrue
I hope you know it was never to you.
 もし私が、私が冷たかったことがあったとしたら
 忘れてくれるといいんだけれど
 もし私が、私が不誠実だったことがあったとしたら
 あなたに対してじゃなかったってわかってほしい


Like a baby, stillborn,
like a beast with his horn
I have torn everyone who reached out for me.
 死産の赤ん坊のように
 角のある獣のように
 私は手を差し伸べてくれる誰も彼もを引き裂いてきた


But I swear by this song
and by all that I have done wrong
I will make it all up to thee.
 だけどこの歌に賭けて
 これまで犯してきた過ちに賭けて誓う
 あなたにすべて償うと


I saw a beggar leaning on his wooden crutch,
he said to me, "You must not ask for so much."
And a pretty woman leaning in her darkened door,
she cried to me, "Hey, why not ask for more?"
 松葉杖に寄りかかっている物乞いに出会った
 彼は私に言った「そんなに多くを求めちゃいけないよ」
 そしてドアの暗がりに身をかがめた可愛い女は
 私に叫んだ「ねえ、なんでもっと求めてくれないの」


Oh like a bird on the wire,
like a drunk in a midnight choir
I have tried in my way to be free.
 電線に留まった一羽の鳥のように
 真夜中の合唱団に紛れ込んだひとりの酔っぱらいのように
 私も自由になろうとしてそれなりに努力してきた


(訳詞はk.d.langのアルバム"Hymns of the 49th parallel"のライナー掲載のものを引用した。訳者は沼崎敦子)

やけに寒いと思っていた(今もこの部屋はとても寒い)。
灯油もない部屋であれこれとあなたに伝えたい曲をYoutubeで探していた時に、ふいのこの曲が飛び込んできた。
わたしはk.d.langという歌手のことをほとんど知らない。けれども、彼女が冬の訪れを告げる歌手であることはよく知っている。彼女のこの映像を見た時に、今がもう秋ではなく冬だということを知った。
その深い歌声は、雪原の静寂を呼び覚ますようだ。そして、冬の到来にコンロストーブさえないのが今の私だ。
唯一持っている彼女のアルバム"Hymns of the 49th parallel"を聴く季節が到来した。過ちも後悔も忘れるしかないと降る雪の季節。
オリジナルがレナード・コーエンのこの歌も素晴らしい。特にこのフレーズが。

 だけどこの歌に賭けて
 これまで犯してきた過ちに賭けて誓う
 あなたにすべて償うと

Hymns of the 49th Parallel

Hymns of the 49th Parallel

冬の、暖かい部屋で聴くといいよ。