日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

レコード店がつぶれた

hirofmix2004-09-07

やぼ用もあって紋別へ行くと、旧国道の商店街にあったレコード店がつぶれていた。
常連客ではなかったが、常連客ではないからこそ、こうしてつぶれた店を前にすると、自分が買いに来なかったからこそつぶれたように思えてくる。あまり気分のいいものではない。残念に思ったところで、そんな感情が偽善的にさえ思えてくるから困る。
閉じられたガレージに二枚の貼紙がしてあって、大きい貼紙には、店を畳むようになった理由が記されていた。いわく、若者の安易な CD リッピング、CD から音楽配信への流通形態のシフト、レコード会社各社の、小売店舗を通さない消費者との直接販売と地方支店の閉鎖。それらを書き連ねながら「レコード小売店の存在意義はもうなくなったのです」とまとめていた。
眠りについた死者を起こすような真似はやめておこう。その理由がすべて間違えている訳でもない。ただ端的にいって、TSUTAYA がこの町に出店したのも、書かれてはいない大きな理由だったろう。
確かにインターネットサービスが発達して、商品の流通形態が変わっていく中では、消費者としての僕らにとって、この小さな店がなくなっても、きっと困る事はないだろう。ただ、小さな街に暮らす人間にとって、自分の暮らす町から、同じ町に暮らす人によるこういった店舗が消滅するというのは、町という身体の一部を失っていくようなものに思える。そう思うのは感傷にすぎないかも知れないけれど。
こうして田舎の町から何もかもが消えていって、最後には農地と荒地と、店はセブン・イレブンだけになるのかもしれない。荒涼としたアメリカの田舎のように。