日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

タロットカードとリーディング

 タロットカード?
「煩悩百八つじゃ足りないわ」「何でそれ自信たっぷりな物言いになるかな」「当たり前じゃないもうたまんないわよ」「あんなに偉そうな人だと気づかなかったわ今まで」「売れ残ったらだってさー」「たまんないわー」そんなある夜のテーブルでの会話が、どうしたことかタロットカードにたどり着いた。「タロットカード?」
 今まで占いに興味を持ったことはほぼなかった。例外は手相かせいぜい星座ぐらい、この二つなら人並み程度にはリアリティを感じることが出来る。しかしタロットカードにはちょっと……と思っていると、タロットカード占いを説明する相手の口から「リーディング」という言葉が出てきた。リーディング(読解)? ようするに、現れたカードが象徴する意味を読み解くことを「リーディング」と言うらしい。僕が知っている占いの結果というものは、解釈や変更の余地のない決定的なものだと思っていたのだけれど、タロットカード占いのそれは少し違うらしい。へえ……面白いね。
 占いの結果がリーディング=解釈に委ねられているんだねタロットカードは。というか話を聞いていると、そのリーディングそのものがタロットカード占いの面白さなんだねきっと。例えば教えてくれた「タイム・アロー(時間の矢)」という占いは、現れるカードの順に過去・現在・未来を意味している。その3枚のカードのつながりからリーディングすることになる訳だけど、その3枚のカードを前にして答えを出そうとする心の働き、それってストーリーテリングと同じ心持ちなんじゃないかな。
 めくられたカードと、そのカードを読み解く自己、偶然が導き出したカードを通じての内省的な対話。22枚のカードから選ばれた1枚のカードが、私にとってどんな意味があるのか。何故あのカードではなくこのカードなのか。ちなみにタロットカード占いのルールとして「同じことを何度も占わない」と鏡リュウジ著「はじめてのタロット」には書いてある(48ページ)。選ばれてしまった1枚のカードはテーブルの上に、生まれ落ちてしまった1人の私は人生の上で、偶然性と一回性を通じてカードと人が結ばれる。