日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

みんなが寝静まった頃


 各所で、局所的には俺の中で高い評価を得ている教育テレビの5分番組「2355」にはおやすみソングのコーナーがある。紹介される曲の中でもこの「Factory of dream」が、いまご覧いただいた映像と相まって素晴しい。
 映像の中ごろ、いかにもNHK的な正しい抑揚の男性アナウンス「みんなが寝静まった頃、懸命に働く工場がありました。Factory of Dream」という一節はまるで童話のようだ。生き物のように「懸命に働く」擬人化された工場は、こちらがどう思おうとお構いなくあたかも事実して「ありました」と過去形で宣言され、その宣言は絵本のように描かれた工場の様子が裏づけている。素晴しい仕組みである。
 例えば京浜工業地帯とかにあるだろう、深夜にも煙を吐き続け、サーチライトめいた灯を明滅させている巨大な工場たち。例えばそんな工場街にも走っているだろう、暗闇にライトの弧を描きながら車線の輪郭をなぞっていく高速道路の車達。この Factory of Dream には、それらの映像に共通した規則正しい動きが「人の営み」そのものを空想させてくれて、次第にしんみりと、穏やかな心持ちになってくる。この感情は「三日月ストレッチ」では味わえない、人の類としての感情なのだろう。