日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

旭川嵐山陶芸の里ツアー

そういう「文化」の残り香を少しは知っているせいだろう、前から旭川「嵐山陶芸の里」には行ってみたかったのである。何せ“陶芸の里”である。きっと小洒落たものがあるに違いない。
旭川市民が好んでいく場所なのかどうかは知らないが、丁度イオン旭川西店を見下ろす旭岡の住宅地に、陶芸やガラス工芸、染色織物などを生業とする人達がアトリエを開き、ゆるやかにスポットを形成している。そこが「嵐山陶芸の里」である。作品を観賞する以前に、そういう雰囲気のある場所を散策したいという欲望の方が強かったのだ。何せ小洒落たものには目のないおれではある。ゴールデンウィーク後半初日、夕方の匂いがし始めた午後3時すぎ、予定は無事履行された。


アトリエや工房を擁した建物は当然のこと、一般の人の住む他の住宅も、建築雑誌にでも出てきそうなオサレなものである。ご主人がパイプをくわえて足を組み、その隣に奥さんが微笑んでソファーに並んですわった写真が家主紹介に載るような家々である。「今にも赤毛のアンが飛び出してきそう!」といういいかげんなキャプションがつきそうなカントリー風の家からは、子どものはしゃぐ声さえ聞えてきた。車庫に停められていた車はプジョーオペル。下手したらシトロエン2CVもあったのかも知れない。冬の坂道を上れないじゃないか。しかし何故ある種の陶芸家は壁に相田みつをみたいな下手な貼紙をはるのか。そんなことを口にしながら陶芸の店を中心に見てまわった。地下にリトグラフを展示している、手染めの服を売る店にも入ってみた。なかなか良いワンピースが吊るしてあって買ってあげたいぐらいだったが当然金額も良い。都合いっしょに五件ほど回ったかも知れない。その中の一件で買ったのが、上の写真の右に写っている器である。1,800円。白と青のコントラストがきれいだ。珈琲2杯分は入る。実際は湯呑み茶椀なのだろう、つるっとした感触が好ましい。大体どこの陶芸作品でもコーヒーカップは湯呑み茶椀に比べて高額だったりするから、よほど好きでないとコーヒーカップは買わないのである。アトリエを出て歩いていると、とある家の前の歩道に沢山のビー玉が埋め込まれていた。ビー玉…? これはアートなのだろうか芸術なのだろうか。って、そんなに笑わなくてもいいじゃないか、と咎めても後の祭りである、こちらも笑うしかない。楽しんでくれたならそれでいいんだ。散策のあと移転した沙羅茶館で珈琲とチーズケーキを食し、旭川駅前のアニメートで「人狼」のサウンドトラックを探したがこれはなし。ここから後は「後顧の憂いなく酒を飲むツアー」に移行して、昔の旅館を改装したような居酒屋「旅篭」で日本酒とウマーな肴、次にラスタカラーの似合うロック・バー(名前は忘れた。何故かThe WarのCDをくれた。ありがとう!)でバーボンをロックで大酩酊。申し訳ない。とても楽しかった。きっと今日の事は忘れないだろう。ホテルについた時にはメールにも気づかないほどあっという間に眠りに落ちた。


写真の、珈琲の横にあるのは神楽岡公園そばにある"The Sun蔵人"の白珈琲とかいう、ようはティラミスである。確かに美味しい。
東京や札幌に慣れた人にはただの田舎なんだろうが、網走管内の田舎に育ったおれにとって旭川は十分都会だ。今まで以上に好きになりそうである旭川。また行きましょう。