日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

そりゃちょっと違うでしょうさ

音楽配信は、レンタルや中古CDの代替として普及する---普及の目安は1曲100円以下、80円くらいが妥当では | 日経 xTECH(クロステック)
オリコンの小池社長のインタビューなんですが、自社の音楽配信サイトを含めてネット配信についての話なんだけど、見事に商売の話しか出てこないのは、仕方ないんでしょうね。音楽配信の今後を曲価格とマーケットに絡めて話しております。以下引用はそのインタビューから。

CDショップと連携した音楽配信も展開していきます。手始めに、山野楽器、新星堂など10社ほどのWebサイトに、オリコン音楽配信サービスを ASP提供します。新譜や人気曲は店頭で買ってもらって、旧譜など店頭にない楽曲はパソコンでダウンロードして買っていただくわけです。最終的には、店頭に音楽配信対応のキオスク端末を設置して、店頭に置いていない楽曲をその場で買っていただけるようにしたいと考えています。

もしこれが実現すれば、オリジナル盤とダウンロードして作られるCD盤の差異というのは限りなく無くなっていく。そうなればいずれ、CDというメディアそのもののありがたみはだんだん薄れていくことになるだろう。「音楽ファン」であれば、オリジナル盤を手に入れたいものだと思うのだが、そういう「音楽ファン」は駆逐されていくのかも知れない。

 音楽配信が広まったとしても、CDの売り上げは減らないと思います。ディストリビューションは絶対多様なほうがいい。セルとレンタルも、うまく共存していた90年代前半があったんです。ずっとCDの売り上げが伸びた時代がありました。あの時代は、レンタルがうまくプロモーションの効果を担っていました。あるアーティストの楽曲にレンタルから入って、気に入ったら買うという。

「セルとレンタルも、うまく共存していた90年代があったんです」というのは、まだ個人でCD-Rなんか焼けなかった頃の話だろう。そんな昔の話を持ち出されても意味がない。大体商売の面から小池氏はレンタルCD屋と中古CD屋を「敵」としてここで話しているのだから。

 ブロードバンドの普及や、記録媒体であるHDDやフラッシュメモリーの価格低下といった状況は各国共通です。CD産業を苦しめる日本独特の原因は何か、と突き詰めていくと、これはコピー問題が背景にあるとしか思えない。それも、レンタルから派生している中古、コピーがそうです。権利者に対して対価が支払われないものが流通しているのです。

非常に「政治的」な発言に思えてなりませんな小池社長。ここで再度持論を繰り返すがレコード業界がこのままの商売をし続けていれば、たとえレンタルCDショップの息の根を止め、中古CD屋の息の根を止めても、それがそのままCD購入にはね返る事は絶対にない。大体がレンタルCDショップも中古CD屋も(ここでいう中古CD屋はたぶんブックオフなどの新古書店などを指していると思える)相対的に新譜CDの価格が高いのと、旧譜が「絶版」となって手に入らない状態故に生まれた業界である。レコード会社が新譜の価格を抑え、常に旧譜からカタログを揃えているなら、たとえ店頭で手に入らなくても注文するのだ。「音楽ファン」にとってはそれだけ「オリジナル盤」の価値はあるのだ。あったのだ。
そもそも最初の過ちはレコード業界が、自らの保身のためだけにレンタルCD屋(当時はレコード)を許した事だ。レンタルレコード屋に負けないよう価格勝負をしない(もちろんここには「再販制」の問題が横たわっている)ままなれあったから、こういう目にあったのだとおれは今でも思っている。

 これだけコピーをとるのが簡単な時代に、レンタルの制度は旧来のままきている。CDというパッケージテクノロジーの時代は終わってるんですね。次世代メディアに移行してなきゃおかしかった。ところが、(著作権管理の強固な)SACDにしてもDVD-Audioにしても、スタンダードになることなく皆素通りしそうな感じです。裸のままコンテンツを流通させてるエンターテイメントはCDしかない。
 CCCDは導入の仕方がまずかった。十分な社会的な根回しがないままにやっちゃって。すぐ、いろんなアーティストが「CCCDは音質が悪い」とかコメントして。すごく音質が悪いイメージもついてしまいました。確かにサンプリング時にいろんな情報を付加するから、どうしてもあのやり方では音は悪くなるんですけども。ただ、もう少し技術を熟成させて、社会的コンセンサスの元で出せばもうちょっと違ったと思うんです。

結局この小池さんも次の発言で「プロテクトはかけて当たり前と思いますが、よりセキュアなメディアを導入するのも当面難しい」と言ってます。やなこったいそんなこたぁ。ここいらへんは現在の映画コンテンツのDVD販売(またはレンタル)を想定して話しているのかも知れないが、あれだってする気になればコピー出来るしね。それにDVDになったおかげで、以前のビデオ以上に購入者は増えたと思うよ。売れているから、映画業界はDVDコピーに対してそれほど目くじら立てていないでしょ(まぁ今後はわからないが)?
おれはレンタルCDショップで曲を手に入れる事自体が常態となってしまえば、そもそも対価を支払うというモラル自体が失われるだろう? と言っているんだよ。昔のレコードレンタルの頃は、そもそも音質が同一でない故に「対価を払っていない」という負い目を補強し、それが逆にレコード購入の伏流となっていたと思うのだ。今レンタルCDショップでCDを借りている人たちにどれだけその「負い目」があるというのか? そもそもそういう消費者を生み出したのは間違いなくレコード業界なのだ。
結局あなた達(レコード業界)は、買って良かったと思える商品(CD)を作れていない、というただそれだけのことなんだよ。 自慢しちゃうがおれは4,000円近くもするCD(それも二枚三枚組じゃない、ただの一枚だ)だって欲しけりゃ買うんだよ。そーゆう消費者を育てるのが、あなたたちの仕事だったんじゃないの?