日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

ガイジン、去る

"AET"という仕事がある。Assistant English Teacher の略称である。大きな都市部にある制度かどうかは知らないが“本場の英語を海外の人から学ぼう!”という訳で、北海道の、おいらの住む田舎町には、主に姉妹都市(というのだろうか)のあるニュージーランドから若い方が"AET"としてやって来て、町内の小・中学生や町民に英語を教えるという仕事がある。4月になって、その"AET"の男性がやって来たのだが、歓迎会の二次会で突然ぶちぎれまして、お偉いさんと大げんか♪ 先週の土曜日にこの町を出ていってしまったのだと聞いた。
彼の部屋は相当汚れていたらしく、昨日今日と掃除に行った彼の「元」同僚上司はかなり疲れ切っていた。職場にはそんな部屋の事やらそれまでの彼の事やら、去っていった彼の悪口が華やかに繰り広げられた。
日本語の達者な男で、音楽が好きだってんで話が合いそうだなーと楽しみにしていたのに早々の帰国。ちょっと残念である。
たぶん、酒癖が良いとは言えないお偉いさんは、同様に酒癖が良くないその彼に対して、年長者としての説教じみた事を申し述べたに違いない、とおいらは想像している(二人とも英語で会話してたからよくわからんかったのよ)。そんな話聞き流せば良いものを(と、まわりにいた誰もが思ったに違いない)、そんなこんなが酒の回った彼をぶちぎらせたのだろう。“あんたの話、建前ばっかり!”とか何とか叫んで彼は出ていってしまった。
どちらも酔っ払いだからして、正論だろうと何だろうと酒につぶれた言葉であるならまともなものじゃない。けれども放たれた矢と失言は取り返しがつかない。結局その時の事が決定打となって、有体に言って彼は辞めさせられる結果と相成った。
彼の地にも、尾崎豊はいるのだろうか…と、彼が去った二次会の席で、ぼんやり考えたのを憶えている。
若い職員達は耐えきれず、この静まり返った空間を何とか“和気あいあいとした二次会”にしようとカラオケを歌い出し、何曲目かになってまわりもやっと話をし始めた。みんなカラオケを心待ちにしていたに違いない。若い職員はきっと株を上げた事だろう。
“あんたの話、建前ばっかり!”
もしかしたら…なんだろうけど、おいら一人だけ、ブルーだった。色々と。
二次会が終わってから、上司の言葉を振りきって(という程じゃないんだけどね)、一人で飲んだ。

しかし彼は、おいらが貸したキース・ジャレット「ケルン・コンサート」ローランド・ハナ・トリオグレン・グールドゴールドベルグ変奏曲(後期)」のCDをどこに置いていったのだろうか(泣く)。後でメールでもだそう。

元気で。