日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

cakes を応援しています

 自分で自由に本屋へ行けるようになった学生の頃から雑誌が好きで、"Rockin' on"や"宝島30"、同朋社の "WIRED 日本版" に ”本とコンピューター” や"考える人" と買い続けて来たが、ここ最近は「考える人」の特集テーマ(特に音楽の特集号)によって買うぐらいで、オーディオ誌の雄 "季刊STEREO SOUND" はまぁ別として、いわゆるカルチャー誌を買う事は少なくなっていた。その程度には雑誌好きの俺の心を久しぶりにググッと鷲掴みしてくれたのが「クリエーターと読者をつなぐサイト」と惹句のついた、1週間150円の課金制もあるウェブサイト "cakes" である。この "cakes" を立ち上げたのが、「もしドラ」こと「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の編集担当だった加藤貞顕氏というのも話題のひとつである。
 カルチャー、サブカルチャーの情報を得るメディアが書店やテレビ、ラジオからインターネットに変化して以来、こちらが読みたいと思わせる書き手もまたブログやテキストサイトなど、インターネットを初出とする方が増加した。"cakes" はそんな情報環境の変化をちゃんと反映した編集方針を打ちだしていて、サイトの開始早々久しぶりにわくわくする「雑誌」に出会った気になった。特に俺の場合は、切込隊長ことやまもといちろう氏極東ブログのfinalvent氏の文章を掲載したことが定期購読の決め手になった。「わかっているな」っていう感じである。
 この二人のようなネット発の書き手は、"cakes" と自分のブログとの書き分けが難しいだろうと憶測したが、やまもと氏は自分のブログ、有料メルマガ(これも俺は定期購読している)、そして "cakes" と、媒体にあわせた書き分けが見事に成功している。finalvent氏の連載「新しい古典を読む」は、氏の極東ブログと比べて短文ながら、どこかしら山本夏彦翁を想起させる文体(というほどではないか)でもって書き分けているようだ。この二人以外にも、山形浩生小田嶋隆大槻ケンヂ津田大介速水健朗などなど、ネットを回遊していれば目に入ってくる書き手もしっかり押さえていて嬉しい。