日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

年上の女性(ひと)

 この記憶違いはたぶん、「卒業写真」「冷たい雨」「あの日に帰りたい」「魔法の鏡」「ベルベット・イースター」「ひこうき雲」「埠頭を渡る風」などなど、松任谷由実、そして荒井由実による70年代の名曲の数々と、高校生になった80年代になって「全日空ミュージックスカイホリデー」というラジオ番組で知ったからだ。当時のヒットソングと70年代の曲を同時にこの番組で知ったせいだ。

全日空ミュージックスカイホリデー」*1は1976年から84年まで、毎週日曜夜の11時から1時間、ニッポン放送でオンエアされていた。僕は自分の出来る限りにおいて、この番組を毎週かかさず聞いた。70年代に若者の音楽とされてきたフォークがもっとおしゃれに、カジュアルに、洋楽っぽくなり「ニューミュージック」と呼ばれ出した頃、それは70年代後半にあたると思うのだが、そんな「ニューミュージック」の名曲の数々を、僕は80年代になってこの「全日空ミュージックスカイホリデー」で知ったのだ。
 パーソナリティーのソラマメさんこと滝良子が紹介した女性リスナーは大学生以上が多く、高校生でしかない僕にとって彼女達の投書から伺い知れる世界はすべて大人の世界だった。そんな大人の女性の多くが、松任谷由実荒井由実の曲をリクエストしていた……そんな風に記憶している。これもまたとめどなく溶け合った一杯の珈琲には違いないけれど。北海道の片田舎で在京1局放送の番組を聞くと言うのは、心だけひとり東京へ旅に出るようなものだ。東京への憧れと年上の女性への憧れは、深夜の他愛もないおしゃべりにさえイルミネーションを飾った……こんな風に、年上の世界への憧れを喚起するようなラジオ番組って、今でもどこかにあるのだろうか。きっとあるだろう、ないとしたら、かなり淋しい世界だ。

 この番組と分かちがたく結びつけられている曲が「中央フリーウェイ」である。今回は「全日空スカイホリデー」でもよく紹介された Hi-Fi-Set のカヴァーをお聞き下さい。どうぞ。

 本当に、あの時の、あの人たちの想いはどこへ消えてしまったのだろう。

*1:こちらのサイトの情報が詳しい