日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

少女たちへのシンパシー

かしまし・い 4 【▼姦しい/▼囂しい】
(形)[文]シク かしま・し
耳障りでうるさい。やかましい。かしがましい。
「―・く騒ぎ立てる」
[派生] ――さ(名)
漢字辞典 Weblio辞書より引用

 ご存知の通り、インターネットには有名な二つの地獄がある。Wikipedia地獄とYoutube地獄だ。やるべきこと急かされていること、日々の些事には事欠かない、ただ今はネットに向かえる猶予の内、という時間に地獄の窯は口を開く。どちらでもよい、目先の欲望につき動かされてリンク→リンク→リンクとクリックし続けていけば、月日が経つのも夢の内、お前の大切な時間はもう二度と戻らない、絶対に。「69年以降のワインはここには置いていないんです」もう駄目だ、俺は駄目になる、このままでは人でなしになる、と出口を求めてもノスタルジーの甘いわなが背中に華奢な身体をおしつけてくる。"You can check out anytime you like… but you can never leave"

 ミキがメインボーカルをとった、今様の言葉で表現すればこの「ネ申曲」は、大人の男と女を描いた歌詞ではある。でも僕たちが今もキャンディーズの歌に、映像に胸をしめつけられるのはノスタルジーばかりでなく、彼女たち三人の仲の良さ、それも中学生女子ぐらいの仲間感が伺えるからだ。セックスの匂いがまだ希薄な、だから高校生ではなく、中学生。

 女三人集まればかしましいというのなら、中学生女子が三人集まればやかましい、だろうか。しかしこのほほ笑ましさ、俗に言う「箸が転がっても可笑しい年ごろ」はやはり時分の花だろう。確かにテレビの世界からではあるけれど、そんな可憐な花たちを見ることが出来たのは、やはり幸せな経験だったと思う。だから、田中好子の葬儀の映像は心塞がれる思いがする。確かに残酷である。
 今でもキャンディーズのように、見る者をほほ笑ましい気持ちにしてくれるアイドルグループは、どこかにいるのだろうか……僕の胸の内に書き残されているのは、やはりこんな三人の「少女」たちだ。いつまでも、笑い続けていてほしい。