日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

「他にしてほしいことは(本当に)ないの?」

 引越すことになったご夫妻からテレビを低額で譲り受け(後には乾燥機付き全自動洗濯機もいただき)、昨年のアナログ放送停波以来久しぶりに我が家でテレビ放送が見られるようになった。素晴しい。テレビのない生活に支障を感じた事はなかったけれど、きゃみーぱみゅぱみゅって何ですかエそうじゃないんですかきゃりーぱみゅぱみゅなんですねそれ何すか。斯様に職場の話題に頷ける程度の情報は得られるようにしたいと思ってはいたのだ。いたのだけど、今も相変わらずテレビは見ていない。出勤前に朝のNHKニュースを流すぐらいで、それさえもNHKラジオ第一のニュースを選ぶ方が多い。ETVの「2355」と「0655」が見られるのは良かったけれど、元々バラエティ番組もお笑い番組もテレビドラマを見ないから、そうであればアナログだろうとデジタルだろうとテレビを見る理由がほぼ存在しない。新しいテレビで多少は生活が変るかな…との淡い期待はほどなく消えて、相変わらずradikoらじる★らじるPodcastニコニコ動画ネットラジオなんか聞きながら飯を喰ったり珈琲を飲んだりしている。
 そんな俺がいま土下座して好きな女にしてほしいことがあるとしたら、あんなことやこんなことより、ジャズミュージシャン菊地成孔のラジオ番組「菊地成孔の粋な夜電波」を聞いてほしいということである。
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 音楽家なのだから当たり前なのだけど、このラジオ番組を聞く度に「この人は耳がいい」とつくづく思わされる。この自作ラップなんか特にそうだけど、この人は意味よりも音で言葉を選んでいるんに違いない、そう思わせるぐらい言葉が気持ちいい。普通のおしゃべりでさえ音楽のようだ。音楽家に必要な才能は歌唱力や演奏力以上に、この耳の良さ、音の肌理やグラデーションの違いを聞き分けられる能力に違いない。
 絶対音感を持つ人はサイレンからでさえ音程を聞き取るというけれど、菊地成孔には音楽がどのように聞こえているのだろう。いやそれはすべての音楽家へのクエッションだけれど。
 このラジオ番組の面白さがあなたにも伝わればいいのに、と思うのだけれど心もとない。大体にしてジャズファン、またはTBSラジオファン、もしくはロイホことロイヤルホストマニア以外に菊地成孔を知るひとはいまだ少ないのが実情であろう。なので、彼が最近手掛けた以下の音楽を聞けば多少とも興味が湧くかも知れない。いやしかしこの番組も楽しみだな。
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