日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

「レコードはまっすぐに」読了

レコードはまっすぐに―あるプロデューサーの回想

レコードはまっすぐに―あるプロデューサーの回想

オーディオの知識注入のために購入、何とか読みおおせた。最近ちょっとした本はすぐ図書館にリクエストする(取りあえず読みたいんだが買うまででもないのは最近すべて図書館頼りである。蔵書に広がりが出来ていいと思うの)のだが、これはさすがにちょっとという事で購入した。クラシックレーベルとして名高いデッカの名プロデューサー・カルショーの自伝。途中で亡くなられたために未完なのだが、彼がデッカを辞める直前までのごたごたはここにほとんど書かれているそうな。
カラヤンショルティ、サザーランドなどなどクラシック界の大御所がぽんぽん出てきて読むのが一苦労ではあった。個人的には当時のクラシックレコード界でその音質の良さを誇ったレコーディング技術についてもっと読みたかったのだが、それ以上にページが費やされるのはデッカ社内の軋轢、音楽を消しゴム同様の消費財としてしか見られない職員達、おおよそ人間の持つグロテスクさのショーケースでもある指揮者、演奏者、作曲家、歌手、そしてオーケストラ。美しい音楽と作り手の醜さは両立して余りある事実がどのページからも溢れている。
とりあえず最近は本もろくに読めない、読んでも身に付かないまま読了というパターンが多いのだけど、これもちょっとそうだったりする。
演奏の忠実な再現ではなく「音楽の本質をレコードに刻む」と云うカルショーの姿勢、特にLP登場によりその可能性を極限まで追い求め、録音した演奏を素材として加工を施したというのは、ちょっと面白かった。いやー、この次はこれだな。
ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実

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