日曜日の食卓で

とりとめなのない話が書かれていると思います

それとも、私も献花せねばならないのか

 finalvent 氏のエントリー「そこに神社が建つだろう」を読んで思い出したことを書く。
 北見市郊外の道道7号線を常呂へ向かう途中、数多くの「花」が巻きついた電信柱が立っている。*1
 たぶんこの電信柱のそばで、交通事故死があったのだ。この「花」を見たことのある人なら、誰もがそう思う。この道路には歩道がなくて、路側からすぐに段差があるから、献花する場所がない。事故現場だろう電信柱のたもとに献花しても目につかない。だから、こんな風に電信柱に「花」が飾られているのだ。
 死者の霊を慰めようという人たちの気持ちに棹さすつもりはないのだが、私はこの「花」が禍々しくて好きではない(好きとか嫌いとか、そういう風に言っていいものなのか、躊躇してしまうのだが)。たぶん、その「花」が色鮮やかで数も多いからだろう。車を停め、その「花」のそばにいくと、がさがさっ、と動き出すのではないか。この電信柱を通る度に、そんな気持ちにさせられる。
 いつから、誰がこんな風に花を飾ったのか、もちろん知る故もない。そしていつまでこうしているのか、もちろんそれもわからない。もしかしたら、これから先もずっと、「こいつ」はここでこうして生き続けていくのではないか、そんな風にも思えてくる。死の床へと就くのを拒まれ、成仏できないままに。

「裏切りのサーカス」を観た

「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」で話題になっていた映画「裏切りのサーカス」を観た。

裏切りのサーカス コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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 フィクション映画を観たのはいつ以来だ、旭川のディノスシネマズ「ジャンゴ〜繋がれざる者」を観て以来だ、ここしばらく「新しいことなんか何もしたくない」という気分だったから、ようやく映画を観られるぐらいまでには気持ちが前向きになったことになる。
 映像が美しく、舞台となった1970年代のロンドンの風景にはただそれだけで心癒される。また宇多丸氏も言っていたとおり、登場する男たちの服装の良さったらない。仕立ての良い背広を隆として着こなす男たちには、同性でさえもため息がでる。あとアルベルト・イグレシアスの音楽が良かった。
 監督は「ぼくのエリ 200歳の少女」のトーマス・アルフレッドソン、これは「ぼくのエリ…」も観たくなってきたね。appleTVはリクエストしたらすぐ視聴出来て、こんなにスムーズに観られるなら、TSUTAYA DISCAS 辞めてもいいかなって気がした。

昭和88年夏の敗戦

 去年の4月から毎週日曜日の午前中までに更新して来ましたが、ついに今日はこんな夕方の更新になってしまいました。夕方なのにまだ暑いです。シャワーを浴びても汗が噴き出てきます。あまりの部屋の汚れに掃除をせねばと思うのですが、あまりの汚なさに意志が折れてしまいそうです。いま少し、頑張ります。本当にひどいんです。誰に謝る訳でもないけれど、ごめんなさい。
 ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
 暑い夏といえば、井上陽水のこれ。

何のことだかわからないなこれじゃあ

 わが町の人口の半分ぐらいの人たちが「ここはあえて、各自100キロを走ってみようじゃありませんか」と申し合わせて全国からわが町に集結し、午前五時の号令を合図に一路南下する、というイベントがありまして、こんなブログ書いている場合じゃないのです。大会自体も私自身も、何事もなく無事終了することを祈念しています。ではまた。
 ところでレコーディングダイエッターにしてオタキング岡田斗司夫氏、リバウンドしちゃったんですね。いやはや、難しいものです。

iGoogleのかわりに自作ポータルサイトに移行したよ

 自分専用のホームページサービスとして重宝していた "iGoogle" が今年11月1日で終了しますとアナウンスされたのが去年のこと、ぼくもSafariのホームページはずっと iGoogle にしていたので、Googleによる死亡宣告にはちょっと困ってしまった。ぼくと同じように困っている方ももちろん多く、例えばまとめサイトNAVERにも既に「iGoogleがサービス終了、代替サービスまとめ」なんて記事がアップされている。ぼくもそんな記事に紹介されているサイト、たとえばフランスの "NetVibes""まとみ"なんかいじってみたりしたが、結局 iGoogle から乗り換えるまでには至らなかった。慣れの問題かも知れないけど。
 色々思案した結果、はたと思いついたアイデアがあった。そしてその結果がこれ。

 ハイ、Googleサイトを使ってポータルサイトを自作したんです。Googleなので、iGoogleで使われているガジェットがこちらでも(全部ではないかも知れないが)使えるのが素晴らしい。ご覧のとおりgmailgoogle news、検索窓とはてなブックマークだけのシンプル極まりないページなんだけど、とりあえず使えています。正直この程度のシンプルなもので十分だったりするのだ、あと出来ればGoogle calendarがきれいに表示されるガジェットがあればいうことない。googleのアカウントを持っている人なら、30分もあれば完成しますよ。

この淋しい国で生き残るために

 たとえば2ちゃんねるまとめサイト、そしてもちろん(スレにもよるが)本家2ちゃんねるも、なるべく見ないようにしている。見ればコメント欄にあふれる罵詈雑言に心が折れそうになるからだ。「顔も素性もわからないからって、よくまぁここまで悪し様に書けるわ」と、暗澹たる気持ちになる。現代を生きる人として弱すぎる、とか言わないで下さい。
「こういう書き込みをするような奴は、自分とは別の人間だから出来るんだよな」と決めつければ精神的には安定するだろうが「私は人間である。こと人間に関するかぎり自分に無縁なものはないと思われる」という言葉がぼくは好きだ。その程度には他人を理解しようという姿勢は持っていたい。
 思うにぼくたちが日常的に遭遇するトラブルのほとんどは、言葉づかい、言い方を変えるだけで相当少なくなる。なので、素性がわからないからと罵詈雑言ばかりのやり取りをしていたら、見ず知らずの他人には冷酷であってよい、という気分に侵されないだろうか。それとも「人はそもそも他者に対して冷酷なのだ」と言う共通認識で日常生活万事オッケーなのかなみんな。
 よくチェックしているサイト "DDN Japan" で紹介されていたドキュメンタリー映像を、今朝は紹介させて下さい。この文章を読んでいるあなたに、もし一時間弱ほど時間があれば、ぜひご覧いただければと願います。もし可能なら家族でご覧になられてもいいんじゃないかな、と思います。
自殺者1万人を救う戦い "Saving 10,000 - Winning a War on Suicide in Japan"

 内容の紹介は控えておきます。もし見ていただければ、何故アイルランドの映像作家が、異国である日本の自殺について映像を作ったのか、そして終盤に紹介される東尋坊の元警察官の語りが、その怒りが、きっと理解できると思います。
 実際のところ、昨年平成24年の我が国の自殺者数は10,000人どころではない27,858人で、うるう年だった平成24年度の日数366日で27,858人を割り返すと1日平均約76人、24時間で割り返すと約3人、すなわち平成24年は「20分に1人が自ら死を選んだ年」ということになる。そしてこの年は、自殺者数が15年ぶりに3万人を下回った年だったという。
 ぼくたちの何気ない毎日の暮らしぶりが、たとえばこういう結果として現れている、ということを。

根雪よ、僕たちをめくらますその時の速さよ


彼は目を閉じて 枯れた芝生の匂い 深く吸った
長いリーグ戦 しめくくるキックは ゴールをそれた
肩を落として 土をはらった
ゆるやかな 2月の黄昏に
彼はもう二度と かぐことのない風 深く吸った
何をゴールに決めて 何を犠牲にしたの 誰も知らず
歓声よりも長く 興奮よりも速く
走ろうとしていたあなたを 少しでもわかりたいから
人々がみんな立ち去っても私 ここにいるわ
同じゼッケン 誰かがつけて
また次のシーズンを かけてゆく
人々がみんなあなたを忘れても ここにいるわ
何をゴールに決めて 何を犠牲にしたの 誰も知らず
歓声よりも長く 興奮よりも速く
走ろうとしていたあなたを 少しでもわかりたいから…
麗美ノーサイド』作詞作曲:松任谷由美 編曲:松任谷正隆

青春のリグレット」もこの「ノーサイド」も、麗美を愛した松任谷由実の曲である。彼女の歌のほとんどがそうであるように、ここに描かれているのもまた、過ぎ去ろうとする季節と、その後ろ姿を見るまなざしである。今ここにあるものが失われ、次の季節に変わっていくことを、誰も止めておくことは出来ない。そんな当たり前のことの重荷を知れば知るほど、過去は今よりももっと輝きを帯び、歌は眠れぬ孤独にそっと毛布をかけていく。根雪よ、ぼくたちをめくらます時の速さよ。などと清水邦夫じみた文章を書くのは書く当人としては気持ちいいが、読む側にすればナンノコッチャである。朝からメランコリじみているのは、疲れている証拠かしら。
 で、同じ松任谷由実の曲で、ぼくもその大仰なアレンジで大好きな「翳りゆく部屋」を、あのエレカシが歌っている映像を見つけてしまった。最初は正直どうかなと思っていたけどだんだんと引きづりこまれ、最後の最後に歌う「どんな運命が愛を遠ざけたの」に何もかもがすべて持っていかれて涙で前が見えない。今さらながら宮本の声は「ズルい」と思う。過ぎていった者達を思い出して、泣きなさい。